子どもは、そこに同じ年頃の子どもがいれば、すぐに仲良くなって、一緒にごっこ遊びを始められるというものではありません。
体や言葉の発達と同様に、遊び方も、0歳の頃から、だんだん成長・発達してくるものです。
年齢はあくまでも目安ですが、「ままごと」を例にとって、遊び方に見られる、子どもの発達を追ってみたいと思います。
1歳近くなる頃から、大人の真似をする「見立て遊び」が始まります。大人が、ままごと道具のコップを持って、「ゴクゴク」と飲む振りをしてみせると、子どももコップを持って「ンクンク」と飲む振りをするようになります。
もし、食事の時に、空のコップを差し出したら、「入れてちょうだい!」と身振りで訴える子どもが、遊びの時はうれしそうに空のコップを口へ持っていく・・・。小さいながらも、「遊び」ということを理解している証拠であり、「ままごと」の第一歩を踏み出した瞬間です。
私は、まだまだ赤ちゃんと思っていた子どもの、そんな人間らしい姿・仕草を見ると、本当に感動してしまいます。
「ままごと」は、このように「食べる振り」「飲む振り」から始まりす。
そのうち、「お皿を並べる」「お皿に食べ物を入れる」「どうぞと差し出す」など、お母さんがしてくれていることを、自分もやってみるようになります。「お母さん」という役割を演じるようになるのです。
この頃の「ままごと」は、自分一人であったり、大人対自分で進みます。近くで、同じ年頃の子どもが、同じように「お母さん」を演じていることもありますが、二人が積極的に一緒に遊ぼうとすることは、まだ少ないでしょう。「平行遊び」と呼ばれる時期です。
誰かが、お皿を並べて遊んでいる。おもしろそうだな・・・と、自分も隣でやってみる。保育園などでは、何人もの1?2歳の子どもが、ままごと道具を囲んでいる姿も見られます。でもそれは、「お母さん」「お父さん」「お姉さん」「赤ちゃん」・・・などの役割が決まった「ままごと」ではありません。一人一人が、みんな「お母さん」。それぞれが自分の中の「お母さん」のイメージで遊んでいます。
かと言って、周りの子どもに全くの無関心というわけでもありません。おもしろそうなことは真似してみる。時には一緒になってやってみたい・・・。だから、この時期は、おもちゃの取り合いなどのトラブルがよく起こります。
近くの友達の使っているおもちゃを、すぐに取ろうとする子。大人から見たら、「困った子」に見えるかもしれません。でも、ただ、周囲の友達に関心が強く、「真似したい。一緒に遊んでみたい。」という気持ちを行動に移しただけなのです。まだ、気持ちの伝え方を知らないだけなのですから、「困った子」と決めつけず、「○○ちゃんもやってみたかったんだね。」と気持ちを受け止め、同じようなおもちゃを見せ「ここにも同じのがあるよ。」と知らせたり、「貸してって言ってみようか。」と教えてあげればいいのです。
これも、遊びが発達していく一つの段階と言えるでしょう。
友達と関わりながら、「ままごと」をしようとするのは、3歳前後からでしょうか。
それ以前の子どもは、大人が良い仲介役となってあげれば、一緒に遊ぶこともできますが、それをせず、「ほら、仲良くしなさい。「一緒に遊ばなきゃ、ダメでしょう?」「うちの子、ちっとも友達と遊べない・・・」「いじめられているのかしら・・・」などと、言ったり悩んだりするのは、ちょっと早すぎるような気がします。
その子の遊びは、まだ、その段階にないのですから。
3歳前後の子どもは、自分の周囲の子どもに強い関心を示すようになり、一緒に遊びたいと思うようになってきます。もちろん、個人差は大きいものですが。
続きは、次回に。
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元保育士の「ゆっこせんせい」が12年の保育経験を活かして、子供たちとの遊びの中で気づいたこと、発見したことなどを中心にお届けしていきたいと思います。
<さとうゆきこ>
筑波大学心理学専攻、中退。92年、私立保育園就職。勤務しながら、保育士資格取得。0歳?5歳の各歳児の保育に携わる。04年、退職。現在は、HP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱」にて、オリジナル手作り布おもちゃを発表し、布おもちゃの素晴らしさを伝えるべく、活動中。7歳と9歳の男の子の母でもある。
HP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱」:http://yukkotoy.com/