第2回 おとうさんの出番

 子どもにとって、一番身近な存在は、多くの場合お母さんであり、仕事で忙しいお父さんとは、週末やっとゆっくり会えるといった家庭が、最近は少なくありません。
 でも、それだけに子どもたちはお父さんと過ごせる時を、とても楽しみにしています。お父さんにも参加してもらえるイベントを催すと、子どもたちは「今日はパパと来たの」と、うれしそうに報告してくれます。
 悲しいときや心細いときに出る言葉は「お母さーん」でも、お父さんはちょっと特別な存在のようです。

 お母さんとはまた違うダイナミックな遊びができたり、別の角度から子どもを見たりすることができる存在として、お父さんの役割は大きいものがあります。
 水遊びをする、キャンプに出かける、果物や野菜の収穫を体験する、虫を捕まえる、動物や魚を見たり触ったりする、里山や森を歩く、・・・お父さんと一緒だからこそできることがあります。
 お子さんの年齢に応じて、近くの公園でも、ベビーカーを使わずに歩いて行ってみる、ボール投げの相手をする、かけっこをする、夕焼けを見る、などなどいろんな体験をさせてあげてください。お父さん自身が発見することが、きっとあるはずです。

 幼児期、子どもは手や足、五感を使って身のまわりの世界を知り、体得していきます。いわば自分の体を通して学んでいくのです。心と体の基本が形成されるこの大事な時期に、親子で様々な体験を共有するのは、お子さんの成長にプラスになるばかりでなく、お父さんやお母さんにとっても、子育て中ならではの大切なひとときとなるでしょう。

 社会状況の厳しい中、一方では、子どもを取り巻く環境や教育について、関心の高いお父さん方も最近は多く、父親による、子育てについてのサイトがいくつも誕生していますし、園や学校などの面談にご両親でいらっしゃるご家庭も増えています。
 子育てが母親だけに課せられたものではなく、子どもたちを父親ももちろん私たち周りの大人みんなで見守り育んでいける、そんな社会が子どもにとっても大人にとっても幸せなのではないか、と思います。

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WASEDA Frontier Kids Learning Centerアドバイザー野村謡子が園での保育経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。家庭で活かせる「モンテッソーリの子どもの見方」をお伝えしていきます。

野村謡子<のむらようこ>
青山学院大学卒。息子の「子どもの家」入園をきっかけに、モンテッソーリ教育に出会う。教師のディプロマを取得後、モンテッソーリ園に12年勤務。現在も WASEDA Frontier Kidsアドバイザーをはじめ、多岐にわたりモンテッソーリ教育に携わる。