「よくやったね」
“あの人は行動力がある”とか“行動力が無い”といわれる人がいます。“行動力がある人”といわれる人は、例え未経験で初めてのことをやるにもかかわらず、“理由はないけどうまく出来そうな気がする”という気持ちで対処できますので、その行動も自由で大胆なものになるでしょう。これらはどのように培われるのでしょうか。一般的には大人になってからの成功体験の有無によるものと考えられていますが、必ずしもそればかりとは言えないのです。
幼稚園くらいの子供はいろんなことに興味を持っています。いろんなものを触ったり、お兄ちゃんやお姉ちゃんがやっていることを自分でやってみようとしたり。まだ慣れない不器用な手つきで一生懸命に興味を持って取り組もうとしています。
親にとっては、子供のこれらの行動はハラハラドキドキで、目が離せません。カッターナイフだろうがアイロンだろうが、目に留まればとりあえず触ってみようとします。
「危ない!」「触っちゃダメ!」「じっとしていなさい!」子供の身体の安全を考えるあまりに、こんな言葉が多くなってきます。あまり「ダメ!ダメ!」と言われると、子供は“何かをやろうとするとダメと言われる、だからあまり行動しないようにしよう”と考えるようになるのです。
また、子供はまだまだいろんなことをうまくやれません。ついついうまくやってもらうために「ああしなさい、こうしなさい」と指示を与えてしまいがちになります。やはりあまり指示を与えられると自分で行動しないようになり“親の(誰かの)言うとおりにしていよう”と考えるようになります。
大人になって“誰かに指示してもらわないと安心して行動できない”と言う方々には、幼少期に、親から“ああしなさい、こうしなさい”と行動を細かく指図されたり、親が心配性で”危ないからじっとしていなさい“といったメッセージを多く受けてきた人が多いのです。
子供の安全のために、いろんなことを禁止する事はある程度仕方がないことでしょう。しかし、そればっかりだと子供は行動力を抑えてしまうようになります。
やはり時には子供に自由にやらせてあげて、うまくできていなくても自分でやったことを褒めてあげたいものです。「これあなたがやったの?すごいね!よくできたね!」ほめ言葉とお父さんやお母さんの嬉しそうな顔、これを繰り返し体験した子供は“自分で何かをやるってことはこんなに心地良いものなんだ”と考えるようになります。そして、お父さんやお母さんの「すごいね!よくできたね!」の言葉と親の嬉しそうな顔を求めまたいろんなことをやってみるようになります。更に経験を重ねると、“何かをやってみると、結果はほめられる(うまくいく)ものだ”と自信を持つようになります。
心配ばかりせず、見守ってあげませんか?
うまくできなくても待ってあげてください。
意味は無くても、自分でやってみたいんです。
意味は無くても、興味があるのです。
そしてうまくできたときに“よくできたね”とほめてあげてください。
たくさんたくさん喜んであげてください。
その言葉と親が喜んでる姿は行動力と自信の栄養になります。
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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。
<倉成 央 (くらなり ひろし)> 心理カウンセラー、各種(文化サークル、専門学校等)心理カウンセリング講座講師。 診療内科医院などの紹介で個人カウンセリングを行っている。また不登校や引きこもり、家庭内暴力等子供の問題や、子育ての問題、母親のストレスケアーについても、多くのカウンセリングを実施している。 幼稚園や小中学校での講演活動も行っており、主な講演テーマには「こんな言葉が子供を傷つける」「ゆとりをもって子供と接するために」などがある。