第8回 私の気持ちもわかってよ

今回はお父さん向けです。でもお母さんもぜひ読んでください。そしてお母さんからお父さんに、このコラムの内容を伝えてあげてください。
子育て関係のコラムというと、お母さん向けが多く、お父さん向けに書かれた物は少ないですね。お父さん向けの読み物を書いてもあまり読まれないからでしょうか?それともお父さんの立場で子育てを考えている人が少ないのでしょうか?子育ては夫婦の共同作業と言われる割にはあまりにも寂しいです。
お父さんはどれくらいの時間を子育てに割いていますか?
先日、新聞に載っていたデータでは、日本のお父さんは最も子どもとの時間を作らない国のひとつでした。とても寂しいですね。
でも、日本のお父さんは忙しいのかもしれません。「子どもと遊ぶ約束があるから、日曜の接待ゴルフはお断りします」まだまだこんな事を言うなんてとんでもないという風土の会社が多くあるのです。お父さんも辛いところです。
仕事を一生懸命にやっているのに、突然「なぜ家の事を全くやってくれないの?」「私は毎日子どものことで大変なのよ」「私の気持ちも判ってよ」などと言われてしまいます。
お父さん、この言葉を奥さんから言われるのはお父さんが悪いです。
子どものために時間を取れないのは仕方がないとします。でも、どこかで“家の事は家内に任せてある”“子どものことについてやるのは家内の仕事だ”“子どもの教育がちゃんと出来ていないのは母親が悪い”なんて思っていませんか?
そう思っていると、知らず知らずに態度に表れてしまいますよ。そして、言葉で言わなくても奥さんに伝わってしまいます。「夫は私が子どものことをやっているのを当たり前だと思っている」という具合に感じてしまうのです。だから、つい「私のことも判ってよ」と文句が出てしまいます。
子どもの世話をひとりでずっとするのは大変なんですよ。
「昔の人はみんな…」なんて言わないでください。昔は助けてくれる人が周りにたくさん居たから何とかなったのです。今とは違います。
時には、奥さんに感謝の言葉を伝えてみたらどうでしょう?
「いつも子どもの世話をしてくれてありがとう」
「子どもの世話で大変でしょう?疲れたでしょう?」
「あまり無理しないでね」
時々、心を込めて伝えてみてください。
きっと文句が減りますよ。そして奥さんとより心地よいコミュニケーションが増えていきますよ。両親が心地よい関係を作っているのは、子どもにとてもいい影響を与えるものです。
子育てに直接関わる事は、時間的に難しいというお父さん。
自分の代わりに子育てを全部やってくれているお母さんに感謝する時間は取ってみてはどうでしょう。それもお父さんにしか出来ない子育て支援です。

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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。

<倉成 央 (くらなり ひろし)> 心理カウンセラー、各種(文化サークル、専門学校等)心理カウンセリング講座講師。 診療内科医院などの紹介で個人カウンセリングを行っている。また不登校や引きこもり、家庭内暴力等子供の問題や、子育ての問題、母親のストレスケアーについても、多くのカウンセリングを実施している。 幼稚園や小中学校での講演活動も行っており、主な講演テーマには「こんな言葉が子供を傷つける」「ゆとりをもって子供と接するために」などがある。