第18回 子どもが自分で着たくなる服、選んでいますか??一人で着られることが、大きな自信につながります?

 緑の眩しい季節となりました。衣更えのこの季節、大きくなったお子さんのために服や靴を用意するのも、親御さんには楽しみなことでしょう。
 さて、お子さんの服を選ぶ時、あなたは何をポイントに選んでいますか? デザイン? 素材? 洗濯のしやすさ? いろんな観点があると思います。
 これから成長していく子供たちのために、ここでもう一つ考えていただきたいポイントがあります。それは、子供が自分で脱いだり着たりしやすいものかどうかという点です。

 ベビーのうちは動きやすいものであれば充分でしょう。着せたり脱がせたりする時に「お袖に手を入れようね、ほら出てきたよ。」などと声をかけながら行なうと赤ちゃんの意識づけに役立ちます。
 歩けるようになり、手が使えるようになってきたら、お子さんが自分で脱ぎ着するところを想像してみてください。どんなものがいいでしょうか。
 まずオムツは寝かせるタイプを卒業してパンツタイプに、肌着はロンパスやボディスーツからTシャツ仕様へ。洋服は複雑な作りのものよりシンプルなもの、頭からかぶるタイプならどちらが前かわかりやすいもの、といったように子供の気持ちになって着やすいものを選んでみてください。
 靴も同様です。まず歩きやすいもの。サイズが合っていることはもちろんですが、自分で脱ぎ履きのしやすいマジックテープなどで止められるものがいいでしょう。
 マジックテープなどが普及していなかった幼い頃、外に遊びに行くときに、自分ですぐ履けるので長靴を好んではいていた、とおっしゃるお母さんもおられます。自分でしたいという心はいつの時代にも必ず現れるものなのですね。

 時間に追われていると、つい今までの習慣で、服を着るのも靴を履くのもすべてお母さんがしてしまいがちです。自分で手を使える時期になっても、してあげていることで、せっかくの子どもの発達のチャンスを逃してしまうばかりか、自立心の芽生えを摘み取ってしまうことにもなりかねません。

 幼稚園に行き始めるよりずっと前に「自分でしたい」は始まります。その時期に、助けを借りながらも自分で洋服を脱ぎ着するという体験は、一人でできるようになったときに、子供本人の大きな自信になります。
お子さんが自分で着たくなる服、選んでみませんか? 自立の芽生えは 訪れているのです。

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新宿区河田町にあるWASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長、橋本 恵理が、自らの子育て経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。「個性と自立心を養う」教育法であることをお伝えしていきます。

<橋本 恵理 (はしもと えり)> 早稲田大学理工学部卒業。大手保育事業会社にて認可保育園や駅型保育所などの立ち 上げ経験を持つ。2003年、幼児教育におけるベンチャー企業である?フューチャーフ ロンティアーズ取締役(COO)に就任。現在、新宿区河田町にモンテッソーリメソッ ドをベースに日本人を対象としたインターナショナルスクール WASEDA Frontier  Kids Learning Centerの園長として、また2児の母としても活躍中。