インターネットや携帯電話の普及とともに、世の中のスピードがどんどん速くなっています。時間に追われて生活していると、子どもにもつい「早く、早く」とせきたててしまったり、自分でしようとしているのに思わずやってあげてしまったり、といった経験は皆さんお持ちのことでしょう。「待つ」というのは案外むずかしいものです。
「待つ」ことが、子どもに大きな成長をもたらした、と感じられた出来事が最近2つありました。
2歳になったばかりのAちゃんは、なかなか負けん気が強く「自分で」と言ったが最後、お母さんが手を出すと泣いて怒る元気な子でした。お母さんも辛抱強くAちゃんに付き合っているうちに、半年経った今では、洋服の脱ぎ着も上着のボタンの止め外しもきちんと自分でできる頼もしい子に育ちました。お母さんの「待つ」姿勢が、Aちゃんの成長と自信を育んだのでしょう。
また、Mちゃんはご家族の愛情を一身に受けて育った一人っ子。身支度や片付けを一人でこなせるしっかりした女の子です。目新しい教材を出すと、一番にしたいのですが、この間はお友達が先になりました。「私がする」と、横から取りそうになるのを「お友達が終わるまで待ちましょう」と制したところ、「や?だ?」となおも取りたそうな素振りのMちゃん。
「他のことをして待っていてもいいし、隣で見て待っていてもいいのよ」と提案すると、「お隣で見てる」とがまん強く最後まで待つことができたのです。
おうちではいつもマイペースで過ごせる環境なので、順番を待つとか人に譲るという経験がないのも無理はありません。Mちゃんにとっては、「待つ」ことが、自分の気持ちをコントロールするよい機会になったことでしょう。
自分に、そして相手に信頼をおくことが、「待つ」ということかもしれません。
お子さんといっしょの大切な時間をどうぞ愛しんで過ごされますように。
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新宿区河田町にあるWASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長、橋本 恵理が、自らの子育て経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。「個性と自立心を養う」教育法であることをお伝えしていきます。
<橋本 恵理 (はしもと えり)> 早稲田大学理工学部卒業。大手保育事業会社にて認可保育園や駅型保育所などの立ち 上げ経験を持つ。2003年、幼児教育におけるベンチャー企業である?フューチャーフ ロンティアーズ取締役(COO)に就任。現在、新宿区河田町にモンテッソーリメソッ ドをベースに日本人を対象としたインターナショナルスクール WASEDA Frontier Kids Learning Centerの園長として、また2児の母としても活躍中。