凶悪犯罪が多発し非行の低年齢化が進むという環境の中で、子育てがますます難しくなってきているように感じます。更に核家族化が進んだために、昔のようにおじいちゃんおばあちゃんが近くに居て子供の面倒を見てくれるわけでもないので、子育てについての母親の負担は増える一方です。そのためか子育てや子供の教育についてストレスを抱えてイライラされているお母さん方が増えています。私が幼稚園に講演活動などでお伺いし、お母さん方と直接お話させていただいたときに、お母さん方のストレスを以前より強く感じるようになりました。こんな環境なのですからイライラしても仕方ないと思います。しかしそのイライラを対処しないまま放置しておくと、身体に変調ををきたしたり、育児ノイローゼに発展することがあるのです。
私のカウンセリングルームにも育児ノイローゼ状態の方がカウンセリングを受けにいらっしゃいます。何度かのカウンセリングを受けるうちに次第に気分がすっきりされるようです。そして「今までよりイライラしなくなった」とか「子供のことが今まで以上にいとおしく感じられるようになった」といった変化がみられ、楽になられる方が多いようです。母親は24時間子供と一緒に居ます。母親に心の余裕があれば子供のわがままもかわいいと思えるものですが、心に余裕がないとちょっとしたことでもイライラしてしまうものです。「寝ているときは子供のことが可愛いのだけど・・・普段は腹の立つことが多くて」という状態は、心がストレスを感じ始めた証拠で、要注意かもしれません。それならば心に余裕を持って子供に接すればいいということになるのですが、これは頭でわかっていてもなかなか出来るものではありません。
どうして私たちは心に余裕がなくなってしまうのでしょう。実は心の余裕の有無は、環境以上に自分自身の心の中にその原因があるようです。「もっと?しなければならない」「思い通りにいかない」という小さな思いが自分の中に蓄積されていったとします。そしてそれが心の中にいっぱいいっぱいに貯まってしまったとしたら、もう色々なアクシデントに耐える余力はなくなってしまいます。ちょっと思い通りにいかないことがあっても、もう心の中では納めきれずに、子供にイライラをぶつけてしまったり、自分を責めてしまったりすることになります。こうやって育児のストレスは大きくなっているのです。
ですから、心の中に小さなストレスを貯めていかずに、ちょっとずつ処理していくことが大切です。
日々少しずつ小さなストレスを処理していくために、まず毎日自分を褒めてあげることから始めるのもひとつの方法です。毎日イライラしながらもこんなに頑張っている自分自身を認めてあげるのです。鏡に映った自分自身に「あなたは本当によくやっているよ。少しくらいイライラするのは当たり前よ。本当にお疲れ様、偉いね。」などとやさしく話しかけてあげるのです。自分を認めることは、ストレスを退治するひとつの方法なのです。
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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。
<倉成 央 (くらなり ひろし)> 心理カウンセラー、各種(文化サークル、専門学校等)心理カウンセリング講座講師。 診療内科医院などの紹介で個人カウンセリングを行っている。また不登校や引きこもり、家庭内暴力等子供の問題や、子育ての問題、母親のストレスケアーについても、多くのカウンセリングを実施している。 幼稚園や小中学校での講演活動も行っており、主な講演テーマには「こんな言葉が子供を傷つける」「ゆとりをもって子供と接するために」などがある。