第5回 「真剣」に、しかし「深刻」にならない 。

 いつも私が、子育てのキーワードとしてお願いしている、「お子様のことに対して、常に『真剣』に考えていただきたいのですが、決して『深刻』にならないで下さい」ということ。
 子どもたちは、時に「幼稚園、行きたくないー」と言ったり、「○○ちゃんが、いじめはる」と言ったりすることがあります。その原因はさまざまで、私たちの知りえないところにある場合もあります。

 例えば、こんなケースがありました。

「幼稚園、行きたくない」と言い出した、とのご相談をお母さんから受けました。いろいろお話しして、考えていったところ、こういう状況がその原因となっていたのです。

 実は、下の弟さんが、まだ1歳くらいで、風邪で数日熱を出し、その間、お母さんが弟さんにかまいっきりになっていらっしゃった。そこでお姉ちゃんは、「お母さんを独占されている」と感じ、「もっと私もかまってほしい」との気持ちから、「行きたくない」と駄々をこねていた、というわけです。もちろん数日でそれは解決しました。

 こんなとき、お母さんは、「幼稚園で、何かあったんやろうか。誰かにいじめられてるんやろうか」と、原因を外に求めがちになり、そして時に「深刻」に考えこんでしまわれることがあります。

 「いじめはる」と言う場合も、担任に聞いてみると、いわゆる「お互いさま」のことが多い。誤ってひじがあたったのが原因で、けんかになるケースなどが多いものです。そして、何日かすれば解決することがほとんどです。

 どうぞ、「真剣」には考えても、決して「深刻」にはならないで下さい。

これは子育ての上で、とても大切なポイントです。

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かすが幼稚園 理事長・園長 米川安宜
京都市右京区の私立園。園長は同志社大学法学部卒業後、國學院大學で神道学、佛教大学で幼児教育を学ぶ。キリスト教、神道、仏教と三つの宗教の大学で学んだ特異な経験をもつ。「子どもは大人よりも能力が高い」という目で子どもと関わり、子どもの脳の発達にあった教育と、積極的な心構えを育てる新しい幼児教育を行っている。また、「幼児期こそ、しつけの最適期」として、しつけ・礼儀、道徳教育も重視している。 (http://www.kasuga.ed.jp/)