Category Archives: 倉成 央のカウンセリングルーム

第8回 私の気持ちもわかってよ

今回はお父さん向けです。でもお母さんもぜひ読んでください。そしてお母さんからお父さんに、このコラムの内容を伝えてあげてください。
子育て関係のコラムというと、お母さん向けが多く、お父さん向けに書かれた物は少ないですね。お父さん向けの読み物を書いてもあまり読まれないからでしょうか?それともお父さんの立場で子育てを考えている人が少ないのでしょうか?子育ては夫婦の共同作業と言われる割にはあまりにも寂しいです。
お父さんはどれくらいの時間を子育てに割いていますか?
先日、新聞に載っていたデータでは、日本のお父さんは最も子どもとの時間を作らない国のひとつでした。とても寂しいですね。
でも、日本のお父さんは忙しいのかもしれません。「子どもと遊ぶ約束があるから、日曜の接待ゴルフはお断りします」まだまだこんな事を言うなんてとんでもないという風土の会社が多くあるのです。お父さんも辛いところです。
仕事を一生懸命にやっているのに、突然「なぜ家の事を全くやってくれないの?」「私は毎日子どものことで大変なのよ」「私の気持ちも判ってよ」などと言われてしまいます。
お父さん、この言葉を奥さんから言われるのはお父さんが悪いです。
子どものために時間を取れないのは仕方がないとします。でも、どこかで“家の事は家内に任せてある”“子どものことについてやるのは家内の仕事だ”“子どもの教育がちゃんと出来ていないのは母親が悪い”なんて思っていませんか?
そう思っていると、知らず知らずに態度に表れてしまいますよ。そして、言葉で言わなくても奥さんに伝わってしまいます。「夫は私が子どものことをやっているのを当たり前だと思っている」という具合に感じてしまうのです。だから、つい「私のことも判ってよ」と文句が出てしまいます。
子どもの世話をひとりでずっとするのは大変なんですよ。
「昔の人はみんな…」なんて言わないでください。昔は助けてくれる人が周りにたくさん居たから何とかなったのです。今とは違います。
時には、奥さんに感謝の言葉を伝えてみたらどうでしょう?
「いつも子どもの世話をしてくれてありがとう」
「子どもの世話で大変でしょう?疲れたでしょう?」
「あまり無理しないでね」
時々、心を込めて伝えてみてください。
きっと文句が減りますよ。そして奥さんとより心地よいコミュニケーションが増えていきますよ。両親が心地よい関係を作っているのは、子どもにとてもいい影響を与えるものです。
子育てに直接関わる事は、時間的に難しいというお父さん。
自分の代わりに子育てを全部やってくれているお母さんに感謝する時間は取ってみてはどうでしょう。それもお父さんにしか出来ない子育て支援です。

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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。

<倉成 央 (くらなり ひろし)> 心理カウンセラー、各種(文化サークル、専門学校等)心理カウンセリング講座講師。 診療内科医院などの紹介で個人カウンセリングを行っている。また不登校や引きこもり、家庭内暴力等子供の問題や、子育ての問題、母親のストレスケアーについても、多くのカウンセリングを実施している。 幼稚園や小中学校での講演活動も行っており、主な講演テーマには「こんな言葉が子供を傷つける」「ゆとりをもって子供と接するために」などがある。

第7回 「ママ、お腹が痛いよ」

「ママ、お腹が痛い」
子どもが急に幼稚園に行きたくないといったら、お母さんはどうしますか?
「お腹が痛いなんて嘘でしょう、嘘をつかないの!」
「ダメ、ちゃんと行きなさい」
幼稚園に行きたくないと言ったらママに怒られた、という話をよく子どもたちから聞きます。朝の忙しい時間に、幼稚園に行きたくないとダダをこねられると、ついイライラして強い口調で子どもに当たってしまうかもしれません。
でも、子どもは決して怠けているわけではないのです。子どもが幼稚園に行きたがらないのには必ず理由があるのです。
・幼稚園に行っている間に、小さな弟や妹にお母さんを取られてしまうから
・幼稚園で嫌なことがあったから
・恐い人や意地悪な人が居るから
・他の園児たちと上手く付き合えないから
などいろんな理由があります。
子どもの理由に耳を傾けてあげてください。お母さんも忙しいのに大変でしょう。でもこの日は幼稚園に行かなくてもいい、遅刻をしてもいいから、じっくりと話を聞いてあげて下さい。
そして、子どもの話に対してどうすればいいかを教えるのではなく、“腹が立ったこと”“悲しいこと”を受け入れてあげてください。
「そうなんだ、それは腹が立つね!」
「そんなことがあったの、それは悲しかったね!」
解決策よりも気持ちを受け入れてあげたほうが子どもは楽になりますよ。
最近、小中学生や高校生の不登校が増えています。不登校になるきっかけは人それぞれでいろいろな理由があります。けれども、不登校の子どもさんとカウンセリングをしていると、多くの子どもさんが“腹が立つ”とか“悲しい”という感情を上手く吐き出せないことに驚きます。
“怒り”や“悲しみ”を適切に使うと、適切な問題解決が可能になります。適切に使うための第一歩は、親がその感情を受け入れてあげることなんです。
幼稚園くらいの頃から、“怒り”や“悲しみ”をうまく使えるように親が援助してあげると良いのではないでしょうか。

7月30日に横浜市で不登校フォーラムが開催され、私もそこで日本で最初にフリースクールを設立された高崎学園の高崎先生と一緒に講演をさせていただきます。不登校に対処または予防するための関わり方などについてもお話させて頂きます。入場無料ですので、興味がある方は是非お越し下さい。

【未来を創る子どもたちセミナー】
日 時:7月30日 10:30?14:30
場 所:ラジオ日本クリエイト
       横浜市長者原5丁目85番 明治安田生命ラジオ日本ビル3F
お問い合わせ:0120?987?238(敬愛ビジネス学院)

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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。

<倉成 央 (くらなり ひろし)> 心理カウンセラー、各種(文化サークル、専門学校等)心理カウンセリング講座講師。 診療内科医院などの紹介で個人カウンセリングを行っている。また不登校や引きこもり、家庭内暴力等子供の問題や、子育ての問題、母親のストレスケアーについても、多くのカウンセリングを実施している。 幼稚園や小中学校での講演活動も行っており、主な講演テーマには「こんな言葉が子供を傷つける」「ゆとりをもって子供と接するために」などがある。

第6回 子供の心の栄養語3

「よくやったね」

“あの人は行動力がある”とか“行動力が無い”といわれる人がいます。“行動力がある人”といわれる人は、例え未経験で初めてのことをやるにもかかわらず、“理由はないけどうまく出来そうな気がする”という気持ちで対処できますので、その行動も自由で大胆なものになるでしょう。これらはどのように培われるのでしょうか。一般的には大人になってからの成功体験の有無によるものと考えられていますが、必ずしもそればかりとは言えないのです。

幼稚園くらいの子供はいろんなことに興味を持っています。いろんなものを触ったり、お兄ちゃんやお姉ちゃんがやっていることを自分でやってみようとしたり。まだ慣れない不器用な手つきで一生懸命に興味を持って取り組もうとしています。

親にとっては、子供のこれらの行動はハラハラドキドキで、目が離せません。カッターナイフだろうがアイロンだろうが、目に留まればとりあえず触ってみようとします。
「危ない!」「触っちゃダメ!」「じっとしていなさい!」子供の身体の安全を考えるあまりに、こんな言葉が多くなってきます。あまり「ダメ!ダメ!」と言われると、子供は“何かをやろうとするとダメと言われる、だからあまり行動しないようにしよう”と考えるようになるのです。
また、子供はまだまだいろんなことをうまくやれません。ついついうまくやってもらうために「ああしなさい、こうしなさい」と指示を与えてしまいがちになります。やはりあまり指示を与えられると自分で行動しないようになり“親の(誰かの)言うとおりにしていよう”と考えるようになります。
大人になって“誰かに指示してもらわないと安心して行動できない”と言う方々には、幼少期に、親から“ああしなさい、こうしなさい”と行動を細かく指図されたり、親が心配性で”危ないからじっとしていなさい“といったメッセージを多く受けてきた人が多いのです。
子供の安全のために、いろんなことを禁止する事はある程度仕方がないことでしょう。しかし、そればっかりだと子供は行動力を抑えてしまうようになります。
やはり時には子供に自由にやらせてあげて、うまくできていなくても自分でやったことを褒めてあげたいものです。「これあなたがやったの?すごいね!よくできたね!」ほめ言葉とお父さんやお母さんの嬉しそうな顔、これを繰り返し体験した子供は“自分で何かをやるってことはこんなに心地良いものなんだ”と考えるようになります。そして、お父さんやお母さんの「すごいね!よくできたね!」の言葉と親の嬉しそうな顔を求めまたいろんなことをやってみるようになります。更に経験を重ねると、“何かをやってみると、結果はほめられる(うまくいく)ものだ”と自信を持つようになります。

心配ばかりせず、見守ってあげませんか?
うまくできなくても待ってあげてください。
意味は無くても、自分でやってみたいんです。
意味は無くても、興味があるのです。
そしてうまくできたときに“よくできたね”とほめてあげてください。
たくさんたくさん喜んであげてください。
その言葉と親が喜んでる姿は行動力と自信の栄養になります。

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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。

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第5回 子供の心の栄養語2

「あなたが一番好き」
あなたの家の子どもが一人っ子じゃなくて、兄弟姉妹がいるのなら、子どもにとって誰が一番愛されているかというのは大きな関心事のひとつです。

カウンセリングで「自分に自信がない」「他人の方が自分より出来る気がする」といった問題を扱う時に「私はお兄ちゃんほど親に愛されていなかったんです」「姉のほうが可愛がられていました」といった幼児期の話を聞く事が多くあります。
もちろん「あなたよりお兄ちゃんの方が可愛い」なんて面と向かって言う親はまずいないと思います。子どもは、知らず知らずのうちにお兄ちゃんの話のほうを良く聞くようになっていたり、お姉ちゃんにばかりよく注意をしたり、といった親の態度を敏感に感じとり、「自分の方が可愛がられていないのでは」と感じるようになってしまうものなのです。
「そんな事を言っても、言う事を聞かない子には注意する事が多くなるし、仕方が無いじゃないですか」と言われるとその通りです。子供といっても、皆が同じ性格ではありません。気難しい子、かんしゃくを起こしやすい子、おとなしい子、言う事を聞かない子、よく言うことを聞く子、それぞれ子どもには個性がありますので、親が全ての子どもにいつも同じように接する事なんて出来る訳がありません。

そこで、時々その子が1人しかいないときを見計らって、その子をそっと抱きしめて「私はあなたが一番好きよ」と言ってあげてはどうでしょうか?「どっちが好きなんて言えない、私は自分の子どもを平等に愛してる」という言葉は理屈としては合っているかも知れません。でも子どもは理屈の世界では生きていないのです。今ここで自分がどう感じるかという世界で生きています。だからもう1人の子どもにも、その子が1人の時を見計らって「私はあなたが一番好き」と言うのです。それぞれの子どもに“一番好き”を言っていると、もしかすると子ども達はいつか2人で一緒にやってきて、あなたに詰め寄るかも知れません。「お母さんは僕にも弟にも“一番好き”と言ったけど、本当はどっちが好きなの。今ここではっきりして」。そこであなたは柔らかい口調でこう答えます「今ここじゃ答えられない。後で一人一人に答えるね」。そしてその子達がまた1人きりになったときにそれぞれにこう答えます。「さっきは弟がいたから言わなかったけど、本当はあなたが一番好きよ、でもこの事は2人の秘密だよ」

一番愛されているという感覚は、成長するにつれ、子どもの中で“自分は他人から受け入れられる人間だ”という自信になり、いろんなことを積極的にやっていく行動力の源になるかも知れません。そして一番愛されたという感覚は大人になった後も、子ども達を一生支えてくれる大切な性格の一部となってくれるでしょう。

   あなたの事が一番好き
   お兄ちゃんよりお姉ちゃんより
   妹より弟より
   あなたの事が一番好き
   これはあなたと私の間の秘密だよ
   あなたにとって大切な大切な秘密だよ
   でも私があなたを一番好きだということを
   これからもずっと一番好きだということを
   ずっとずっと覚えていてね

第4回 子供の心の栄養語

「頑張らなくていい」
“がんばってね”という言葉は子供に対して頻繁に使う言葉の一つです。子供が何か新しい事をやろうとしている時、応援する気持ちから思わず口走ってしまう事もあります。“がんばってね”は悪い言葉ではありません。しかし“がんばってね”だけだときつくなってしまう事があるのです。

“頑張れない私は価値がないのです”このように訴えられるうつ状態のクライアントさんが多くいらっしゃいます。“どうして頑張らないと価値がないの?”“どうしてか分からないけど価値がない気がするんです。だから頑張らなきゃいけない”“でも、今うつ病だから、頑張りたくても体は動かないでしょう?”“はい、だから益々自分は生きる価値が無く思えてきて、憂鬱で…”このようなやり取りはカウンセリングルームで頻繁に行われているのですが、ここで問題なのは、がんばっていない自分は価値がないという思考なのです。
子供が頑張ると褒めてあげる、これは大切な事です。しかし頑張っていないと振り向いてもらえないと子供が思ってしまうと、“頑張れない私は価値がない”という思考の基礎になってしまいます。

頑張っている子に“よく頑張ったね”と褒めてあげると、子供はもっと頑張れるようになるものです。しかし“頑張ったね”と褒め続けるばかりでは、子供は際限なく頑張り続けなくてはならなくなります。延々と頑張り続けるのはきつい事ですし、もしかしたらどこかで息切れして頑張れなくなってしまうかも知れません。

そのためにも“頑張っていなくてもあなたは愛されているんだよ”と教えてあげるのはどうでしょうか?“頑張れば褒めてもらえるけど、頑張っていなくても私は愛されている”と子供が確信を持てたとしたら、頑張る事が認められるための絶対条件ではなくなるのです。時には子供を抱きしめて“いつも頑張らなくてもいいよ”と優しく語り掛けてあげるのです。その時子供は、“たとえ頑張れなくても、私は愛してもらえる”という基礎的な安定感を得ることが出来るでしょう。

   いつも良く頑張っているね
   でもこれだけは覚えていてね
   たとえ頑張らなくてもあなたの事を愛しているよ
   頑張れない時には
   頑張らなくてもいいんだよ
   頑張っているあなたも
   頑張れないあなたも
   全部ひっくるめて
   私はあなたが大好き

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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。

<倉成 央 (くらなり ひろし)>
心理カウンセラー、各種(文化サークル、専門学校等)心理カウンセリング講座講師。 診療内科医院などの紹介で個人カウンセリングを行っている。また不登校や引きこもり、家庭内暴力等子供の問題や、子育ての問題、母親のストレスケアーについても、多くのカウンセリングを実施している。 幼稚園や小中学校での講演活動も行っており、主な講演テーマには「こんな言葉が子供を傷つける」「ゆとりをもって子供と接するために」などがある。

第3回 上手く出来なくてもいいよ

 自分で着替えること、行儀よく食事をすること、大人しくしていること、挨拶をすること、言葉を覚えること、それから習い事、等々子供たちがこの時期、出来るようにならないといけないことは数多くあります。子供たちはこの時期、好き嫌いに関係なく、それらに懸命に取り組んでいくのです。私たちは、教えたことを子供がうまくこなせないと、ついつい嫌な顔を子供に向けてしまいます。“この前教えたばかりなのに”“何度言ったらわかってくれるの”。出来ないことが嬉しいという親はほとんど居ないでしょうから、それは仕方が無いことです。その分、上手く出来たときには褒めてあげることになります。子供が上手くやれると、つい嬉しい顔になってしまいます。親の嬉しそうな顔を見るだけで、子供にとっては親から褒められているのと同じことになるのです。しかし、上手く出来たときに褒められるだけで、子供は心から安心するのでしょうか。
上手く出来ないときには嫌な顔をされてしまう、上手くいったら嬉しそうにされる。そればかりだと、子供は“上手くやれないと受け入れてもらえない(愛してもらえない)”と感じるようになることがあります。

 最近、成人した大人の中に、仕事や勉強などを上手くやれているうちは良いのですが、一旦上手くやれなくなると、“自分は人に受け入れられない”と自分の殻に閉じこもってしまう人たちが多くなっています。カウンセリングで、そういう人たちの話を聞いていると、“自分は小さいときから、上手くやれたときだけ親から受け入れて(認めて)もらえたが、上手く出来ないと親に受け入れてもらえていないと感じていた”という幼児体験を持っていることが多いのです。

 上手く出来ないときに叱られるから、子供も次にやるときには失敗しないように注意しようとします。上手くいくときには褒めてもらえるから、子供は次回も上手くやろうとします。これらはしつけとして必要なことでしょう。でも、時々でいいですから、教えたことを上手くやれているとかやれていないとかには関係なく、無条件で子供を認めてあげるのはどうでしょうか。

 例えば、“上手くやれてもやれなくても、私はあなたを愛しているよ”という言葉を、時々子供に言ってあげるのです。“出来なくても愛している”という言葉をもらうことによって、子供は、例え自分の行動は叱られていても、自分自身は受け入れられていると感じることが出来るようになります。“出来ることは褒められるから嬉しいことだ、でも例え上手く出来ないからといって、決して自分に価値が無いわけではない。自分は元々価値がある人間なのだ。”子供はこのように自分の存在価値に対して自信を持つことが出来るようになるのです。

   これだけは覚えていてください。
   あなたが何を出来たからといって、
   あなたが何を出来ないからといって、
   私にとってのあなたの価値は何も変わりません。
   あなたはいつも大きな価値のある大切な存在です。
   だって、たとえあなたが何か失敗したとしても
   私はあなたとのことが大好きなのですから

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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。

<倉成 央 (くらなり ひろし)> 心理カウンセラー、各種(文化サークル、専門学校等)心理カウンセリング講座講師。 診療内科医院などの紹介で個人カウンセリングを行っている。また不登校や引きこもり、家庭内暴力等子供の問題や、子育ての問題、母親のストレスケアーについても、多くのカウンセリングを実施している。 幼稚園や小中学校での講演活動も行っており、主な講演テーマには「こんな言葉が子供を傷つける」「ゆとりをもって子供と接するために」などがある。

第2回 生まれてきてくれてありがとう

 子どもが安定して自信に満ち溢れ確固たる自分を創るための第一歩、それは“自分は生まれてきてよかった”という安心感を得ることです。
 自分が生まれてきてよかったと思えるかどうか、それは親が自分という存在を喜んでくれているかどうかに大きく影響を受けます。生まれてきて良かったという感覚が十分でないと情緒が不安定になったり、大人になってから自分の存在感を感じることが出来なかったりします。
 私は、カウンセリングのクライアントさんに、自分が子どもになったつもりで、親があなたの存在を喜んでくれているかどうかを感じてみる演習を、時々やってもらいます。“私の親は私の誕生日を喜んでくれていないようです”と答えるクライアントさんほど、死にたい気分になることが多いという結果が出ています。
つまり、親が自分の存在を喜んでいるということは、「存在すること」「生きていくこと」への大きな栄養分になるのです。
 子どもは、自分と目が合ったときに親が嬉しそうに微笑むと、“私は喜ばれている”と思うことが出来るけれど、もし顔をしかめられてしまうと“私は喜ばれていない”と感じてしまいます。親が心の中で“子どもを愛している”といくら思っていても、子どもは親の態度や言葉で自分が愛されているかどうかを判断してしまいます。だから“あなたを愛している”と態度や言葉で伝えていくことが大切なのです。
時には、子どもを膝の上に乗せ、優しく抱きしめ、“生まれてきてくれて本当にありがとう”と嬉しそうに囁いてあげてください。
生まれてきてくれてありがとうの反対の意味になってしまう反栄養語には、以下のものがあります。

あなたが生まれてから私は苦労した
→私という存在がなければ親は苦労しなかったのにと感じることがあります。
あなたは橋の下で拾ってきた
→私はいなくても良かったんだと感じることがあります。
あなたさえいなければ私は○○できたのに
→私が存在したせいで親は幸せになれないと感じることがあります。

   生まれてきてくれてありがとう。
   本当にあなたが生まれたときに心からそう思ったんです。
   毎日忙しくて、ついつい忘れていただけなんです。
   言いたかったけど、少し照れくさかっただけなんです。
   思い出しました。あなたが生まれたとき、
   かわいいあなたのお世話が出来ることは、
   私の特権であり、神様のご褒美だと思ったんです。
   今日からあなたに私の気持ちを少しずつ伝えます。
   私のこともたくさん知ってください。
   あなたが私の子どもで生まれてくれて本当に嬉しい。
   本当にありがとう。
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幼稚園や小中学校での講演活動や個人カウンセリングで活躍中の心理カウンセラー、倉成 央がおくるコラム式カウンセリング。 講演現場での出来事やカウンセリングなどの実体験を織り交ぜながら、様々な心理的アドバイスを紹介していきます。
<倉成 央 (くらなり ひろし)> 心理カウンセラー、各種(文化サークル、専門学校等)心理カウンセリング講座講師。 診療内科医院などの紹介で個人カウンセリングを行っている。また不登校や引きこもり、家庭内暴力等子供の問題や、子育ての問題、母親のストレスケアーについても、多くのカウンセリングを実施している。 幼稚園や小中学校での講演活動も行っており、主な講演テーマには「こんな言葉が子供を傷つける」「ゆとりをもって子供と接するために」などがある。

第1回 イライラ解消術

 凶悪犯罪が多発し非行の低年齢化が進むという環境の中で、子育てがますます難しくなってきているように感じます。更に核家族化が進んだために、昔のようにおじいちゃんおばあちゃんが近くに居て子供の面倒を見てくれるわけでもないので、子育てについての母親の負担は増える一方です。そのためか子育てや子供の教育についてストレスを抱えてイライラされているお母さん方が増えています。私が幼稚園に講演活動などでお伺いし、お母さん方と直接お話させていただいたときに、お母さん方のストレスを以前より強く感じるようになりました。こんな環境なのですからイライラしても仕方ないと思います。しかしそのイライラを対処しないまま放置しておくと、身体に変調ををきたしたり、育児ノイローゼに発展することがあるのです。

私のカウンセリングルームにも育児ノイローゼ状態の方がカウンセリングを受けにいらっしゃいます。何度かのカウンセリングを受けるうちに次第に気分がすっきりされるようです。そして「今までよりイライラしなくなった」とか「子供のことが今まで以上にいとおしく感じられるようになった」といった変化がみられ、楽になられる方が多いようです。母親は24時間子供と一緒に居ます。母親に心の余裕があれば子供のわがままもかわいいと思えるものですが、心に余裕がないとちょっとしたことでもイライラしてしまうものです。「寝ているときは子供のことが可愛いのだけど・・・普段は腹の立つことが多くて」という状態は、心がストレスを感じ始めた証拠で、要注意かもしれません。それならば心に余裕を持って子供に接すればいいということになるのですが、これは頭でわかっていてもなかなか出来るものではありません。

どうして私たちは心に余裕がなくなってしまうのでしょう。実は心の余裕の有無は、環境以上に自分自身の心の中にその原因があるようです。「もっと?しなければならない」「思い通りにいかない」という小さな思いが自分の中に蓄積されていったとします。そしてそれが心の中にいっぱいいっぱいに貯まってしまったとしたら、もう色々なアクシデントに耐える余力はなくなってしまいます。ちょっと思い通りにいかないことがあっても、もう心の中では納めきれずに、子供にイライラをぶつけてしまったり、自分を責めてしまったりすることになります。こうやって育児のストレスは大きくなっているのです。
ですから、心の中に小さなストレスを貯めていかずに、ちょっとずつ処理していくことが大切です。

日々少しずつ小さなストレスを処理していくために、まず毎日自分を褒めてあげることから始めるのもひとつの方法です。毎日イライラしながらもこんなに頑張っている自分自身を認めてあげるのです。鏡に映った自分自身に「あなたは本当によくやっているよ。少しくらいイライラするのは当たり前よ。本当にお疲れ様、偉いね。」などとやさしく話しかけてあげるのです。自分を認めることは、ストレスを退治するひとつの方法なのです。

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