公園の梅の花がほころぶ頃、お子さんの入園や入学を控え、春を心待ちにしていらっしゃるご家庭も多いことと思います。
そこでこの時期、新しく集団生活に入る前に、ご家庭でぜひとも心がけてほしいことがあります。それは自分の身のまわりのことを、自分でできるように少しずつ環境を整えていくことです。
これから入園を迎えるお子さんなら、たとえば、朝起きたら顔を洗うこと。お母さんに濡れタオルで顔を拭いてもらうのではなく、自分で洗面台の踏み台に乗ったら、ほっぺたにぴちゃぴちゃと水をつけるしぐさでかまいません。
子どもの手が届くところにタオルをかけておいて自分で顔を拭くのです。
初めはお風呂で練習したり、洗面台で横にお父さんやお母さんが立ってやって見せたりするといいでしょう。
パジャマから洋服に着替えるのも、着やすいように服を並べておいて、自分で着られるようにするのです。パンツやズボンの脱ぎ履きから、靴下の脱ぎ履き、それからシャツや上着のボタンを留め外しなど、少しずつ自分でできるところを増やしていきます。
脱いだものもおかあさんが片づけるのではなく、自分でかごに入れるとか、たたむとかルールを決めておきます。
出かけるときも、靴を一人ではけるようにしておきたいですね。右左の区別がわかるようにするにはどうすればいいか、かかとをうまく収めるようにどうしたらいいか、お母さんが工夫できるところはいろいろあると思います。
お子さんと過ごす日常生活の中で、自分で手を動かして身の回りのことを行うことによって、どれだけお子さんが自信をもち、成長していくことでしょう。
お母さんがそばにいなくても、自分でできるという自信が、集団の中に入っても落ち着いて環境に馴染み、積極的に関わっていくベースとなっていきます。
今までなにげなくやってきたお子さんの世話を、今度は自分でできるように家庭環境を整えていく。ちょっと寂しくもありますが、これから家庭の一員として、そしてこれからの社会を作っていく一人として、頼もしく成長していってもらわなければなりません。自立への道を歩んでいくお子さんを暖かくサポートしていくために、お父さん、お母さん、その第一歩をどうぞ踏み出していただきたいと思います。
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WASEDA Frontier Kids Learning Centerアドバイザー野村謡子が園での保育経験を活かし、モンテッソーリ教育の内容を身近な例を挙げながら紹介。家庭で活かせる「モンテッソーリの子どもの見方」をお伝えしていきます。
野村謡子<のむらようこ>
青山学院大学卒。息子の「子どもの家」入園をきっかけに、モンテッソーリ教育に出会う。教師のディプロマを取得後、モンテッソーリ園に12年勤務。現在も WASEDA Frontier Kidsアドバイザーをはじめ、多岐にわたりモンテッソーリ教育に携わる。