主にお母さんと一緒に家にいることが多かった赤ちゃん時代を経て、子どもは成長とともに、外界に触れる機会が多くなります。そして、風邪などの感染症になることもぐんと多くなり、戸惑うママも多いことでしょう。
今回は、木島小児科内科耳鼻咽喉科医院の木島太郎先生に、子どもの罹りやすい感染症やアレルギー疾患などについてお話を伺いました。
木島小児科内科耳鼻咽喉科医院開院時間
◎耳鼻咽喉科:月火水・金(土=午前のみ開院)
◎小児科内科:(月・水・金・土の)午前のみ開院
休院日:日祝祭・木
TEL:03-3467-6740
住所:東京都渋谷区富ヶ谷2-1-10
木島太郎先生経歴
平成2年4月 :日本大学医学部卒業
○平成2~:日本大学付属病院耳鼻咽喉科、
駿河台日本大学病院救命救急センター
○平成4~:国家公務員等共済組合連合会立川病院耳鼻科(助手)
○平成10~:駿河台日本大学病院医局長
○平成10~:ピッツバーグ大学 耳鼻咽喉科学教室
(University of Pittsburgh Cancer Center)
留学 Research Fellow
○平成12~:駿河台日本大学病院外来医長
○平成14~:日本大学医学部兼任講師
○平成19~:日本大学付属耳鼻咽喉科学教室桜耳会理事
―― 「幼稚園ねっと」に訪れる、主に2~6歳の幼児を持つ親御さんにとって、小児科と並んで頻繁にお世話
になるのが、ぜんそくなどのアレルギー疾患、中耳炎の治療などで伺う耳鼻咽喉科です。木島先生のクリニック
にもたくさんのお子さんが通っていらっしゃいますね。
木島先生 そうですね。何といっても、風邪やインフルエンザなど感染症に罹るのは、小学生までの幼児が
圧倒的に多いのです。様々な感染症とアレルギー疾患(ぜんそく・アレルギー性鼻炎など)で、小さいお子さん
の診察が大変多いですね。
―― 特に、幼児の来院が多い時期などありますか?木島先生 やはり、学校や幼稚園・保育園などが始まる
時期は急に患児が増える傾向にあります。そして、それらがお休みに入ると落ち着く。つまり、集団生活で様々
な感染症に罹患しているのですね。
特に、それまでご家庭で、主にお母さんと二人で過ごしていたような子が
入園する場合は、初めての集団生活で多くの子どもたちとの接触を持ち、感染症に罹るリスクが格段に多くな
ります。鼻をたらしている子を調べてみると、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌を保菌していることが多く、そこ
から感染し発熱、二次的に中耳炎などの症状で来院されるのが一つのパターンですね。なお、インフルエンザ
桿菌に関しては、ワクチンも開発され、当院でもHibワクチン(インフルエンザ桿菌B型ワクチン)の接種が
可能です。
※予防接種を予約で行っていますが、現在のところ予約をしても数ヶ月先になることが 予想され
ます。海外より輸入して行っているのでご了承ください。そのようなワクチン接種も、感染予防の一助となります。
木島先生 集団の幼稚園や学校生活では、ある程度、感染症のリスクは避けられません。 発熱や咳、喉の痛み、
鼻水などの症状がでた場合、自己判断することなく、早めに受診するようにしましょう。たとえば溶連菌感染症
のように、抗生剤の投与ですぐに症状が治まるものもあります。 また、感染症に罹患した場合、感染力が弱ま
るまで自宅で待機し、感染を拡大しないように注意しなければなりません。また、感染症から中耳炎になるお子
さんも多いのですが、抗生剤投与により激しい痛みがひいたあとも、完治までには三週間ほどかかります。鼓膜
の赤みが完全にひくまではしっかり通院して完治させましょう。
―― 最近、小さい子の中にも、春先、鼻炎などの症状が強くなるという話を耳にしますが、幼児にも「花粉症」
はあるのですか?
木島先生 血液検査をすると、2,3歳から、いわゆる「花粉症」であるという反応が出ますよ。もちろん、
症状はそう強くはならないことが多いので、その多くは経過観察、余りにもひどい場合は、大人と同様に、症状
を和らげる治療をします。春先の鼻炎が、花粉の飛散量に比例して悪化する、家の中よりも外出中にひどくなる
ような場合は、医師に相談した方が良いでしょう。
気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は、血液中でアレルギー
に関連する抗体が増えている、という点で共通している疾患ですので、様々な症状が同時に発症することもあり
ます。もともと何かのアレルギー疾患をもっている場合は、更に注意しておく必要があります。
―― アレルギーを持っているかどうか、少し気になるが、それほどの症状もなく受診をためらっているママか
らの相談が寄せられたのですが・・・。
木島先生 アレルギー疾患があるかどうか調べるのは、血液検査でわかりますので、気になるようであれば、
医師に相談するのが最善です。よく目をこする、鼻水が出る、鼻をいじる、また、皮膚に関しては、曲がる部分
がかさかさしたり、ただれたりするなどの症状が、お子さんの日頃の様子で見受けられれば、早めの受診をお勧め
します。
―― ぜんそくなどアレルギー疾患の子どもは、更に増えているというような実感がありますね。
木島先生 大気汚染が進み、大気中の化学物質の影響が大きいですね。花粉症に関しても、花粉だけでなく、
花粉にくっついている化学物質も、症状を強めます。
ご存じの方が意外に少ないのですが、平成20年8月から、東京都では気管支ぜんそくの患者さんに対して、
年齢制限なく医療費を助成することになりました。これは大気汚染に関わる健康障害者に対する措置ですが、
このように自治体においても、アレルギー疾患については重く受け止められています。
―― 最後に、幼稚園ねっとに集まる幼児をもつママパパへ、
メッセージをお願いします。
木島先生 医師として重ねてお願いしたいことはまず、
気になる症状があれば、早めに受診してほしいということ
ですね。
また、治療の途中で通院をやめ、また別の医院で受診とい
う方も少なくありませんが、それまでの治療の経過がわから
ないと、適切な診断と治療ができないことがあります。理想
的なのは信頼できる「かかりつけ医」を持つことですが、
別の医院で受診する場合も「お薬手帳」を持参することを
心がけてくださると助かりますね。
―― 先生、お忙しいところ、ありがとうございました。