ホーム >> ならいごとハテナ  >> 第1回 アサミバレエスクール

小さいうちから色んな事を経験させたい、得意な事を作ってあげたい、自分と同じ趣味を持ってほしい、将来の役にたててほしいナドナド・・・、何か習わせようとする親の動機は様々です。実際に、幼稚園に入ってから習い事を始める子も多く、周りを見渡すとうちだけ何もやってない?なんてこともあるかもしれません。

でも、いたずらに焦ることなかれ!幼稚園ねっとでは、幼児を持つママパパに向け、人気の習い事を潜入取材していきます!

第1回は、女の子を持つ親なら一度は憧れる?「バレエ」について、千葉県船橋市でアサミバレエスクールを主宰されている 茂木あさ美先生にお話を伺い、実際の「ベビー科」(就学前の幼児クラス)を見学させていただきました。
(2007年4月25日 取材・青木 綾/文中敬称略)

―― レオタード姿がかわいい、何となくお上品、女の子なら是非習わせたい、など、漠然としたイメージでバレエに興味を持つママパパも多いのですが、バレエを始めることで、具体的に子どもたちにどのような影響があるのか、お聞かせ下さい。

あさ美先生

私が主宰するアサミバレエスクールは、クラシックバレエを基礎から学び、バレエの技術向上だけではなく、心豊かに、健康で美しい身体を創っていくことを目的としています。バレエは腹筋や背筋、腕、足はもちろん、指や足の裏まで、体中のあらゆる部分を使い、また体の柔軟性も必要とします。そして、良い姿勢はバレエの基本中の基本です。ですので、バレエを習うことで、子どもたちの「身体的能力」が向上するのはもちろんですが、バレエは他にも、子どもたちの心身共にとても良い影響があるのですよ。

まず、バレエは音楽を聴き、リズムに合わせ動きますので、子どもの音楽性を高めることができます。次に、幼児といえども、覚えられる範囲での振り付けがあり、動作を繰り返しながら、動きの順番を覚えていきます。その過程で、頭の働きも鍛えられますよね。集中しなければ、振り付けを覚えることができないので、自然に集中力を養うことにもなります。そして、発表会などの時は特に、その動きには、演技者としての表現力が求められます。ここで、子どもの感性・想像力が磨かれていきます。

あさ美先生

こうしてお話させていただくと、本当にバレエは、子どもにとって「いいことずくめ」なのですが、実はもう一つ、とても大事で、成長に不可欠な良い点があります。それは強い心、「精神力」が養われること。バレエは確かに、鑑賞するにはとても美しく優雅なのですが、その美しい演技は、演技者の厳しい練習に裏打ちされており、到底見るほど楽な世界ではありません。

「ベビー科(アサミバレエスクールでの就学前の幼児クラス)」はまず、バレエを好きになり、楽しく踊ることがスタートではあるけれども、バーレッスンなど、子どもには少々退屈な事でも我慢しながら、また、その子にとって難しい振り付けでも、あきらめず挑戦するように、根気強く指導しています。

また、発表会の前は、ベビー科の子どもたち皆、お姉さんたちのようにきれいな衣装をきて、夢のようにきれいな舞台に立てることを心待ちにしています。しかしながら、あの舞台で踊るには、それ相応の努力が必要であり、ベビー科といえどもたくさんの練習を重ね、子どもなりに苦しい思いもしながら、発表会に向けて練習します。その事によって、幼いなりに「目標に向かって、努力することの大切さ」を学び取り、最後まで踊れた達成感を感じてくれているようです。

―― 本当にバレエは、子どもにとって「いいことずくめ」ですね。では、実際にバレエを始めるためのアドバイスをお願いします。

あさ美先生

まず、始めようとする子のお母様方に言っておきたいのですが、バレエは漢方薬と一緒で、即効性のあるものではなく、継続してはじめてその良さがわかるものです。始めるきっかけは、お母様の憧れでも、かわいいレオタードでも、何でもいいのですが、特に幼児期には、焦らず長い目でお子様を見守っていただきたいですね。 バーレッスンなど、基礎の運動を繰り返すことは、子どもにとっては退屈でつまらないかもしれません。また、難しい動きに「できない、やりたくない」とぐずる子も確かにいます。そこでお母様が、即やめさせよう、と思わないでいただきたいのです。もう少し成長して、バレエ以外に何か本当にやりたいことを見つけた場合は別ですが、バレエの楽しさを発見できないうちに、ただ「退屈だから」「難しそうだから」とやめてしまうのは、正直、指導者としてやりきれない思いで、とても残念に思います。ですので、始められる前に、バレエは継続することが大事であることを、お母様方によく理解していただき、次のステップに進んでいただきたいですね。

―― 習わせる以上は、イヤと言ったらすぐにやめればいい、というような気持ちではなく、「続けること」を前提に、ということですね。では、見学する上でのアドバイスをお願いします。

あさ美先生

今は、私が小さい頃と違って、各地域にたくさんのバレエ教室がある、とても良い環境になりました。ですので、まずは、どのバレエ教室がよいのか、実際に見学されてご自分たちの目で確かめられるのがいいでしょう。子どもによって、向き不向きもあるので、習う子も一緒に実際のレッスンを見学させてもらいましょう。

そして見学した上で、もしも子どもが「やりたくない」と言ったら、無理に入れるのではなく、少し時間を置いた方がいいと思います。その子にとっての機が熟していないのかもしれません。その教室の発表会をみせたり、バレエのビデオを見せたりして、「私も踊りたい!」と思える日まで待つのもいいでしょう。

―― しかしながら、ピアノは何歳までに始めるのが良い、などとよく言われますが、バレエに関してはそのような始める時期のリミットはあるのでしょうか?

あさ美先生

実は、私がバレエを始めたのは小学4年生の時なのですよ。バレエに対する情熱は人一倍持っていたので、それから、日々努力し、寝る時間も惜しんで学業と両立させ、練習に明け暮れました。結論として、子どもがバレエを始める時期に明確なリミットはありません。ただ、プロを目指すなら、少なくとも小学生のうちに始めた方がよいと思いますが、いくつで始めたとしても、バレエを好きという気持ち、情熱、努力は必要です。

また、2~3歳の幼児で、レッスンに来ても毎回泣いてしまうような場合は、やはり早すぎると言えるでしょう。うちのベビー科はだいたい4歳から、としていますが、その子によって成長の度合いも、バレエに対する興味、情熱も違うので、始めるベストの時期というのはそれぞれです。ただ、ぐずってしまってレッスンには参加できない時でも、例えばレオタードを着てフロアの隅で見学しているだけでも、その環境に浸ることで練習になっているとは思います。

―― 先生が、子どものバレエを指導されていて、ご苦労される点はありますか?

あさ美先生

ベビー科の子には余り関係がないかもしれませんが、継続していく上で必ず、遊ぶ時間が欲しい、勉強に専念したい、などの理由で、バレエをあきらめてしまう子が出てきます。せっかく本人もバレエの楽しさがわかり、指導者としても「これから」という時ですので、とても残念です。

私はよくジュニア科の子たちに、「バレエが好き」という「好き」は、何かを犠牲にしてもうまくなりたい!続けたい!という気持ちだ、という話をします。私の学生時代は、勉強と両立させるために、テレビを見たり、遊んだりする時間はなかったので、周りの友達の話題についていけないところもあったかもしれません(笑)。でも、学業に関しては、毎日バレエのレッスンに通い、通学しながらも、電車の時間を利用したり、早起きしたりして、決しておろそかにはしませんでした。始めにお話ししたように、バレエによって「精神力」が鍛えられていたからこそ、バレエも勉強も全力で取り組めたのだと思っています。受験勉強などで、一時期レッスンをお休みしてもいいので、決してあきらめないでほしいですね。

また、幼児のお母様方へ。もしお子様が「やめたい」と言っていたら、ぜひ指導者に相談してください。本当に今、辞めるべきなのかどうか、プロとしてのアドバイスを仰いでいただきたいですね。

―― バレエに興味のあるママパパに向けて、最後にメッセージをお願いします。

あさ美先生

始めにお話しさせていただいたように、バレエは1~2年ではとてもその良さはわかりません。子どもの様子でいちいち焦らず、長い目でその子が本当のバレエの楽しさに気づくまで、温かく見守ってくださるように重ねてお願いいたします。

バレエは子どもの発達上、心身共に良い影響を与えることのできる、素晴らしい芸術であり、運動でもあります。趣味で続けるにしても、バレエは他の運動に比べ、筋肉の使い方が自然で、無理、無駄がないため、年を重ねても無理なく続けることができます。

よく、バレリーナはスタイルがいい、という話を聞きます。単にバレエによって、体の均整が取れていて姿勢が良いこともありますが、バレエによって鍛えられた精神力で、生き方のスタイルも良くなるのではないでしょうか。大切なお子様へ、心身共に均整の取れた「スタイルの良い」未来という、一生の宝物をあげるつもりで、バレエを習わせてほしいですね。
1
まず、フロアにて皆で柔軟体操をします。
2
その後、バーレッスン。まずは姿勢良くまっすぐに立ち、バレエの基本動作を練習します。あさ美先生も毎回、指導してくださいます。
3
再びフロアに戻り、音楽に合わせて簡単な振り付けを練習します。
4
ベビー科らしい楽しい音楽に合わせて、みんなで輪になり、スキップスキップ♪中に立って、輪になるお手伝いをしてくれているのは、次のレッスンを待つジュニア科のお姉さんたちです。
5
最後に先生とご挨拶をして、おわります。

あさみ先生へ質問

Q.バレエを始める際、用意するものは何ですか?

A.そのバレエスクールによっても違うとは思いますが、基本的にレオタード、タイツ、バレエシューズの3点です。レオタードについては、最近は色々な飾りのついた華美なタイプが多いようです。しかしレオタードの基本は、体のラインが見えること。できるだけシンプルなものを選びたいですね。

Q.発表会には、別に費用がかかると聞いたのですが・・・。

A.発表会は、子どものバレエへのモチベーションを高める意味でも不可欠です。また、きちんとした舞台にするためには、全体としてとてもお金がかかりますので、その費用について心配されるお母様も少なくないかもしれませんね。費用については、そのスクールで全く違うので何とも言えませんが、アサミバレエスクールの場合、比較的大きな会場で、照明、衣装、舞台装置、全て一流のものを用い、1年半に一度開催しています。 全て一流でありながら、生徒さんに負担していただく費用はとても安いので、他のバレエ教室での経験のある方によく驚かれます。同じ指導者としては悲しい現実ですが、発表会を「商売」としている教室があるのも事実なんですね・・・。ですので、費用がかかるのは事実ですが、それが催される発表会に適正な価格であるかどうかで、その教室経営者の良心もはかれますので、実際の発表会を見て、判断するのが良いかもしれませんね。

Q.幼児の場合、どれくらいの頻度でお稽古に通うのが良いのでしょうか?

A.アサミバレエスクールの場合、ベビー科は週二回のレッスン(週一、週二を選択する)です。例えば、週一と週二のお稽古を比較すると、練習時間は単に二倍ですが、その子にとっての練習の効果は二倍ではなく、二乗に近いのです。私自身も、週に一度ではなく、何回か通う子を応援したいという気持ちで、レッスン料も格安に設定しています。

Q.男の子にバレエを習わせたいのです!

A.大歓迎です!外国では男子のバレエは、ちっとも珍しいことではありません。近頃の男の子が背中を丸め、だらしなく歩いている姿を見ると、本当に「格好悪いな」と思います。バレエを習っていれば、姿勢良くきちんとした「紳士」になること間違いありませんよ。日本男児も皆、紳士たれ!ですよ(笑)。

アサミバレエスクールを主宰するだけでなく、プロのダンサーへの指導も精力的にこなされ、お忙しい毎日にも関わらず、美味しいお茶でもてなしてくださったあさ美先生。
お姿の美しさはもちろんのこと、その考え方と生き方も凛として美しく、これぞバレエによって鍛えられた「精神力」のなせる技だと、痛感しました。 あさ美先生がフロアに立つだけで、スッと、その空気が変わります。「甘いだけの指導はダメ。何を目的としているのか、何のための練習なのか理解させた上での厳しさは必要」とおっしゃりながらも、先生の指導はとても優しく、そして的確で、子どもたちはのびのびと練習していました。ベビー科のみの見学でしたが、小島先生のわかりやすい指導と、それをフォローするあさ美先生との連携で、幼稚園児とは思えないほど、皆、かわいらしくお上手でした!あさ美先生、そして、ベビー科担当の小島祥子先生、取材にご協力いただき、本当にありがとうございました。

第1回―おわり

橘バレエ学校を卒業と同時に牧阿佐美バレエ団に入団。すべての公演に出演のかたわら、橘バレエ学校や日本ジュニアバレエの教師もつとめる。 1985年より、小川亜矢子主宰「スタジオ一番街」(青山ダンシングスクエア前身)のサンデーパフォーマンスにレギュラー出演。1995年から船橋市でバレエ指導を始め、2000年、夫である安原淳司先生とアサミバレエスクールを創立。小川亜矢子主宰・青山ダンシングスクエア創立以来の講師でもある。
アサミバレエスクール(http://www.int-acc.or.jp/asami-ballet/
千葉県船橋市二子町628-12 最寄り駅:東西線原木中山駅徒歩8分
JR下総中山駅徒歩10分  TEL:047-335-7717

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